東条君に触れられているわけじゃない。

 見つめられているだけ。

 でもこの先の極甘展開が想像できてしまうから、うまくしゃべれない。声が震えちゃう。

 でもお願いはしておかなきゃ。


 
 「あっあのね、東条君……」


 「なに?」


 「しないでね……私の心臓が止まっちゃうようなこと……」



 紡げたのは、消えそうなほどか弱い声。

 瞳がオロオロのまま、恐る恐る彼を見上げてみた。



 「心臓が止まる? は? 妃奈に死なれたら困るんだけど」



 耳だけじゃない、私のハートまでとろけさせるオラオラ声が降ってきて



 「この甘さを知ってしまったんだ。味わえないと俺は生きられない」



 まるで甘い蜜をからめとるかのよう。

 彼は長い舌先で私の首筋を舐め上げてくる。



「ひゃっ///」


 首がくすぐったい。

 彼の色気にみちた吐息が、私の耳にまとわりついてきて。