☆妃奈side☆




 お願い、好きでもない私に優しくしないで。

 男らしい声で私のことを求めないで。



 学園内で女子を拒絶している東条君を知っているせい。

 思っちゃうから。

 勘違いしちゃうから。



 『東条君は私のことが、好きなのかな?』って。




 わわわっ、わかっているよ。

 彼の中に恋愛感情なんてものはない。

 どこをなめても甘いケーキ体質の私を、捕食したいだけ。



 でも……

 

 お昼休み

 生徒会室で密会するたびに

 濃厚なキスを私の唇に刻み付けてくるんだもん。


 ――彼女みたいに扱ってもらっている。


 幸福すぎて意識が飛びそうになてしまうのも、無理はないでしょ?
 
 


 「相変わらずだな」


 「えっ?」


 「俺に褒められるたびに、おいしそうな汗がふき出てくる」