「まぁこの俺に気に入られてる時点で、良いやつ判定をくらってるってことなんだろうけど」


 「違うでしょ。私はケーキっていうだけ。東条君が私を食べたいからで……」


 「その言い方」


 「え?」


 「他人が耳にしたら勘違いされるような卑猥ワードを、サラッとぶち込むんだな、妃奈は」


 「ひっ、ひわい?! へへへっ変な意味じゃなくて……私は東条くんの食料って言いたくて……」


 「それもアウト」


 「……っ」


 「食べられるなんて言ったら、妃奈は魔性の女って100%勘違いされるけど、いいわけ?」


 「だっだから……あぁもう、なんて答えても東条君にいじられちゃう!」



 俺が言葉でいじめるたびに、余裕がなくなった妃奈の瞳にたまっていく雫。


 ――おいしそうな涙だな。


 フォーク特有の欲望に掻き立てられた俺は、妃奈のまぶたにキス。

 甘いしずくを唇で優しく吸い取った。



 妃奈は「ひゃ!」と驚いて、跳ねた肩にクロスした両手を乗せ震えている。