外では、お付き人が待機しており、

「お坊ちゃま。」

と会釈すると、またドアを開けてくれた。

2人が車に乗り込むと、

「いつものところへ、お願いね〜」

と光一さんがそう言って、

「かしこまりました。」

と車が走り出した。

「お腹空いたね〜」

と言われ、私は、

お腹がなってしまった。

「と、とっても。」

5分車を走らせると、

とある、高級感溢れる、レストランに到着した。

「予約してあるから〜」

と光一さんが言って、

「えっ、」

と私は驚いてしまった。

お店の人が、

「いつも、ご利用有難うございます。

木村様お待ちしておりました。

いつもの席ご案内させて頂きます。」

と深々とお辞儀した。

「お願いね〜」

と言って、私はただただついて行くだけ。

店内に入ると、

白と金を基調とした、ゴージャスな内装の

フレンチレストランだった。

「わぁ。素敵。」

とつぶやくと、一番奥の個室へ通された。

2人が着席すると、

「いつものお任せで〜」

「今日は大事な彼女がいるから、よろしくね〜」

と光一はスマートに注文を済ますと、

多恵子は、えっ彼女ってただの

女ってコトだよね?!

と内心焦ってしまった。

「この前の僕の誕生日祝の

お礼がしたくてね〜」

と一言だけ言った。

まずは、シャンパンで乾杯。

前菜にスープ、魚料理のあと国産牛のステーキ、

お口直しにちょっとした小皿料理に、デザート。

すべてが私にとって現実離れしていた。

男の人に、こうやって大切にされる愚か、

人生で初めて、男の人、

ましてや好意を持っている光一さんに、

レストランに連れて行ってもらって、

すっごく嬉しくて、泣いてしまったのであった。

「どうしたの。泣かないで〜」

と優しく微笑んだ。

光一さんのこと、本当に大好きに

なってしまったのであった。

最後のコーヒーで、

動揺して手が滑って、

コーヒーをぶちまけてしまった。

「ご、ごめんなさい。」

「見損なったよ。帰るよ〜」

と言って雰囲気が一気に悪くなってしまった。。

あちゃ~私やっちゃった。

光一さんは、お付き人に

「多恵ちゃんの家までよろしくね」

と家まで送ってくれた。

「今、僕不機嫌だから話しかけないでね〜」

と社内では、くらーい雰囲気で、

会話が全く無かった。

家に着くと、

「じゃあね。」

とだけ言って光一さんは、そそくさ

リムジンで帰って行った。

わ〜。次の約束はしてないから、

会いたいけど光一さん、

怒ってるどうしよう〜

と戸惑いを隠せなかった。