次の日の土曜日、

食事のお礼がしたくて、

この町では有名なお饅頭を20個買って、

大叔父様のところへ、お礼とお詫びに行く。

ピンポーン

「前川です。」

「お嬢様。お入り下さい。」

と大きい門が開く。

「お待ちしておりました。」

といつとしもの長ーい廊下を通り抜け、

「木村さん、この前はご馳走様でした。

そして、ありがとうございました。

お礼がしたくて、これ、つまらないものですが、

良かったら。」

とお饅頭の菓子折りを丁重に差し出すと、

例のイケメンが、隣の部屋から出てきて、

「そういう教育はなってるんだな。

当たり前の事だけど、見直したよ〜」

と一言言って、頭を軽くポンと手で、

たたかれた。

お手伝いさんが微笑みながら、

「大叔父様、こちらのお饅頭大好きなんですよ。」

と言って、

「大叔父様、例のお嬢様が大叔父様の好きな

お饅頭を持ってきてくれましたよ。」

ここから見えなかったけど、大叔父様は、

寝ていたようだ。

「はっ。そうか。今日で光一は

26歳になるのか。むにゃむにゃ。」

えーっ、私の王子様は今日がお誕生日?!

「行きたいところがあるんだけど、

付き合ってくれないかな〜」

王子様のオファーに

「あっ、はい。」

と即座に返事をした。

名前、光一さんっていうんだ〜。

私の先を歩く光一さん。

その2歩後ろからついて行く、多恵子。

駅前の本屋に着いた。


「えーっと、あったあった〜」

とどうやらピアノの本を買うようだ。

「お会計は¥2200です。」

「あっ、えっと2500円で。お願いします。」

とつかさず多恵子はお財布から

お金を取り出した。

光一は一瞬ハッとした表情を見せてから、

微笑ましい表情をした。

「これ、お誕生日おめでとうございます!」

と勢いよく言うと、

「ありがとね〜」

と光一が本を持って、

「来週の日曜日の午前、また家遊びに来てね〜」

と言って、今日は本屋の前で別れた。