李雄くんは、私が座る席の斜め前にいつも座ってた。
 私は今までアイドルとか興味なかったし、顔だけに惹かれるなんて……とか思ってたのに、こんなにかっこいい人が現実にいるの!? ってびっくりしちゃって……気付いたらいつも見惚れて、彼を眺めてた。

 顔もかっこいいのに、難しそうな本を、更に難しそうな本を使いながら読んでる……。
 きっと近くの有名大学の人なんだ、と思った。
 
 でも、当然にかっこいいから追いかけてくる女の子も大勢いて……。
 女の子が隣に来ると、彼は溜め息をついて去って行く。
 女の子達は図書館なのに、うるさいから彼の態度が冷たいとは思わなかった。
 きっと普段からすごくモテるんだろうなってのがわかって……最初から諦めてたんだけど……。

 李雄くんがその席に座っている時には、たまに目が合う時があって……ドキドキは続いた。
 
 そんなある日、私が好きな日本刀の解説本を読んでいた時。
 私に詳しい話を教えてあげようかって、気持ち悪いおじさんが、隣に座ってきたの。
 
 小声で断っても、しつこくて……自分はそこの大学の教授だから学部はどこ? とか言い始めて怖かった。
 恐怖で動けなくなった私を、李雄くんが助けてくれた。

「俺の恋人になんか用ですか?」

 って、言われてすごく心臓が跳ね上がったの。
 おじさんは少し言い返そうとしたけど、李雄くんの顔を見て逃げて行った。