「なんでもないって、お兄ちゃん!」

「あ、ふたりきりの時に、お兄ちゃんって言ったら……おしおきだよ」

 ドキン!
 
「だって……李雄くん……私達は……」

 私を抱きしめていた手が伸びて、顎に添えられて、後ろからのキス。
 長くて、甘いキス。
 おしおきだなんて、嘘みたいに甘くて……また囁かれる。

「何が言いたい? 梨花……」

「だって……」

「言わなきゃわからないって、言ってたのは梨花だよ」

 お兄ちゃんは……李雄くんは意地悪だ。
 こんな時だって、余裕たっぷりで微笑んでる。

「だって、私達は……兄妹……なんだよ」
 
「そう、俺達は義理の兄妹……それが言いたかったの……?」
 
 違う。
 違うってわかってるくせに……。