「ママ、私も片付けやるから気にせず行って。映画楽しんできてね」
 
「ありがとう梨花ちゃん……いつも本当に……助かるわ」

 もう、ママったらいつも感激して泣きそうになるんだから。
 四人だけでやった結婚式を思い出す。

「梨花、李雄くん、お土産買ってくるから」

「父さん。気にしないで、二人でゆっくり楽しんでおいでよ。映画館の横のゲーセンもおすすめだよ」

「あはは、ゲーセンかぁ。若い頃を思い出して行ってみようか」

「ふふ、そんな時間ないでしょう」

「いいから、ゆっくりしておいでよ。大学生と高校生の留守番になんか不安ある?」

 律子さんがストールを巻いてピアスを着けた。
 あ、あれ私がプレゼントしたやつ。

「不安なんかないけど……あら、李雄が出かけるのって明日の夜だっけ?」