そう、初めての恋をしたの。

 初めてのデートは、私の好きな日本刀の展示会だった。
 すごく貴重な講演会付きのチケットをくれて、夢みたいな時間。

 そこから素敵なレストランで夕飯を食べて……手を繋いで、散歩して……。
 
 そして、李雄くんも私のことが好きだって言ってくれた。
 私が見ているように、彼も私を見ていたって……そんな奇跡ある? 

 誰もいない夕暮れの公園で、初めてキスをした。

 私はその時の、涙がでちゃうくらい幸せな気持ちは忘れない。

 だからパパが結婚したいっていう気持ちがわかったの。
 人を好きになるって、きっと誰にも止められない。
 私に興味がなくなったからじゃない。
 パパもその人を、心から好きになったからなんだ――。

 私がパパを許せたのは、李雄くんのおかげ。

 彼と想い合うことがなかったら、きっとずっとわからなくって、許せなかった。

 それから歯車はゆっくり回って……数ヶ月。
 そして……嘘みたいな、……最悪の偶然が起きた。