「大丈夫?」
「はい……あの……あ、あ、あ、ありがとうございました」
「本当に大丈夫? 手が震えてる」
「こ、怖くなっちゃって……」
「安心して、俺がいるから」
「は、はい」
「落ち着くまで一緒にいるよ」
「……えっ……あ……ありがとう……ございます……」
怖さと同時に、憧れの人が助けてくれて、感情がごちゃごちゃ。
でも、李雄くんがすごくすごく優しくって。
恐怖しかなかった心に、優しさが沁み込んで……ホッとした。
その日は落ち着くまで、隣に座ってくれて……家の近くまで送ってくれたの。
それから李雄くんが私を守るように隣に座ってくれるようになって……私は助けてくれた御礼がしたいって近くのコーヒーショップへ誘った。
結局奢られちゃったけど……色々お話をした。
李雄くんも、日本刀が好きだって!
すごく話が広がって、楽しくて楽しくて……時間を忘れそうになる。
「梨花ちゃんは、同じ大学……じゃないよね?」
「えっと……あの、あのね」
普段から、少し大人っぽく見られる私。
その時に私は咄嗟に、予備校生だって嘘をついた。
だって高校生だってバレたら、子供だって思われて嫌われちゃうかもしれない。
「そうなんだ、じゃあ勉強教えてあげよっか」
李雄くんの、優しいんだけど、どこかちょっと意地悪っぽい猫みたいな微笑み。
見つめられるとクラっとしちゃって、こんな気持ちは初めてだった。