ゆめタウンで座ってスマホを触る美結。

美結「...」

近くに立ち止まって話す若い男女の

話し声に顔を上げると、

短冊を見ている男子高校生と女子高校生。

美結「(もう学校終わったのか、早いな...)」

美結「(試験発表なら家帰って勉強しろ!)」

来月の七夕に向けて飾られている願いごとに

吹き出して何かを言っている男子高校生。

美結「...」

その中には、一週間前に書いた

美結の短冊も飾っている。

"宮林葵と幸せでいられますように"と。

美結「(俺の短冊見て笑うなよ?)」

美結「...っ」

美結は昨日のことを思い出して

胸が締め付けられる。

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蘭「...」(葵の口にキスをする)

葵「っ...」

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美結「......」

脳裏に焼き付いている光景に嫌気が差す。

そんな中、高校生のカップルは

椅子に座って短冊に願いごとを書く。

美結「(...まだまだ子供だなぁ)」

美結「(フッ、どうせ互いの願いだろ)」

美結「(彼氏とずっといられますように♡)」

美結「(彼女とずっといられますように♡)」

美結「(破ってやる、ビリビリに)」

美結は二人がどこに飾るのか見ようとする。

美結「(...こんなことやめよう)」

美結「(人の幸せを壊す奴は幸せになれない)」



(♪〜)

PM1:00

店内で3度目の曲が鳴る。

美結「(もう4時間経ったのか)」

熱かった体もエアコンで冷えきっていた。

美結「...」

昨日から葵のメッセージを見ていない美結。

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葵「美結!」(美結の腕を掴む)

美結「離して!」

(バッ!)

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突き飛ばすように振り払ってから

葵は追いかけて来なかった。

静かに立ち尽くす葵に振り向かず走り続け...

人影無い場所で声を上げて泣いた。



自分の短冊を笹から取り外す美結。

美結「...」

数秒手を止めた後、力強く破った。