葵「どこ行きたい?」

美結「駅前!」

葵「ちょうどバスも来たみたいだねˆ ˆ」

女子高校生➀「駅前行こー」

女子高校生②「プリ撮ろうぜ〜」

女子高校生③「おっけー」

美結「...」

美結「やっぱやめた」

葵「やめる?」

美結「ゆめタウン行こ」

葵「いいよˆ ˆ」



広告の男性「どうぞ〜」(ティッシュを配る)

美結「...」(受け取る)

葵「有難うございますˆ ˆ」(受け取る)

美結「いらない」(葵に渡す)

葵「じゃあ貰うね」



帰り道...

美結「...」(目を閉じる)

葵「おんぶする?」

美結「...」(頷く)

葵は背中で眠る美結を家まで送る。

美結「...」





美結「......」

朝、ベッドで眠っている美結に突然...

(ボンッ!)

腹部に強い衝撃が襲う。

美結「ぐぁはっ!...?!」

驚いて目を開けると、

自分の体の上に乗っている制服の子供が

ぼやけて見える。

美結「莉央...?」(眼鏡を掛ける)

親戚の子供以外思い当たらないが容姿が違った。

美結「じゃない...誰?」

美結「...こんな男の子知らないけど」

美結は起き上がってベッドから下りる。

子供「うわっ!」

美結「?!...」

美結を目で追っている子供。

美結「...ママー?誰この子?」

美結は母の部屋に行くが誰もいない。

美結「え、嘘でしょ?」

美結「...」

子供「わっ!」(ボンッ!)

考え込む美結の背中を強く押す子供。

美結「うわっ!?びっくりした...」

子供「ねぇねぇ、おばさんだれなの?」

美結「おばさん?!」

子供「?...」

美結「おばさんって...初めて言われた...」

美結「まだ23歳なのに」

美結「君から見たらおばさんか」

子供「...うん」

美結「うんって...正直過ぎるだろ」

美結「...」

子供の制服の名札に視線を向けると

"宮林"と刻まれている。

美結「(幼稚園の名札なのに珍しいな)」

美結「(しかも葵と同じ名字...)」

美結「(よく見たら制服も...容姿も似てる)」

美結「(葵みたいな子がいるんだな...)」

美結「宮林っていうの?」

子供「うん」

美結「下の名前は?」

子供「それはプライバシーだからいわないよ」

美結「(?!...プライバシー...)」

美結「葵って名前じゃないよね?」

子供「...」

美結「ごめんね、違うよね(笑)」

子供「あってるよ」

美結「え!?」

美結「(同姓同名...こんなことある?)」

美結「君は女の子?」

葵「うん」

美結「...どうして制服ズボンなの?」

葵「スカートきらいだから」

美結「...」

美結「(昔の葵と全く同じ...)」

美結「どこの幼稚園?」

葵「...もう!またまちがえられた!」

美結「え?」

葵「ようちえんじゃなくて小学1年生!」

美結「あ...ごめん😅」

美結「(体が小さいところも昔の葵...)」

美結「じゃあ、どこの学校?」

葵「どうしてそこまできくの?」

美結「いや...似てる人がいるから」

美結「もしかして華園学院?」

葵「...おしえない」

美結「...」

美結はスマホで葵が通っていた学校を調べると

やはり制服が一致していた。

美結「...」

同一人物だと思うのには非現実に過ぎなかった。

葵が子供に戻ったなんて。



美結はレンジで加熱した冷凍ご飯と

ロースハムをテーブルに置く。

美結「家にあるものこれしかないけど食べて」

葵「...これなに?」

美結「どれ?」

葵「ピンク色のやつ」

美結「...えっ、知らないの?」

葵「しらない」

美結「ロースハムだよ」

葵「...」

美結「お母さん料理で使わないの?」

葵「りょうりはシェフがしてるからわからない」

美結「...シェフ?!」

美結「(そこまで金持ちって...葵以外いない)」

美結「(やっぱり葵...?)」

美結「(...んなわけないよな)」



その後、キッチンで皿を洗う美結。

美結「(...全然食べてくれなかったな)」

美結「(冷凍のご飯も一口しか...)」

美結「...あれ?あの子どこ行った?」

探しに行くと、浴室から聞こえてくる水の音。

美結「(え...溺れてないよね...?)」

不安になる美結は急いで浴室の扉を開けると...

葵「くらえっ!」(バッ!)

美結「っ!?」

シャワーの水を美結に向けてきた葵。

(ビチャバチャビチャ!)

美結「うぐっ!...」

葵「きゃははは!」

(グッ!)

美結は葵からシャワーを奪う。

美結「...」

葵「にげろーっ!」

葵はびしょ濡れの服で浴室から走って逃げる。

美結「待て!」

美結は葵を追いかける。

部屋をドタバタと走り回る葵を

捕まえようとするが

クッションやティッシュ箱を投げられ、

近付けない美結。

リモコンを投げようとする葵に止める暇もなく

美結「いてっ!」(リモコンが顔に当たる)

美結「...」

葵「ははは!」

美結「いい加減にしろ!!」

美結の大声に笑顔が消える葵。

葵「...」

美結「(あ...ヤバい、言い過ぎた...)」

美結「(泣かせたわ...)」

美結「...ごめん、ごめんね?」

葵「...」

葵は何も言わず去って行く。

美結「...」



美結は自分の部屋を開けると

薄暗い壁際に座ってる葵。

美結「...」

美結「ごめんね、さっきは」

葵「...」

美結「(良かった、泣いてはなさそう)」

美結「(涙を出さないところも葵と似てる...)」

美結「...」

美結は葵のあるものを思い出す。

美結「...葵ちゃん、お着替えしよっか」

葵のブラウスとシャツを脱がせると...

美結「...っ」

右胸の20cm下にあるほくろに葵だと確信する。

美結「...やっぱり葵だったんだね」

葵「...?」



美結は葵に自分のお気に入りの服を着させた。

葵「...ぶかぶか」

美結「許して(笑)子供用がないの」

葵「...」

美結「こんなやんちゃな葵が」

美結「妹思いのお姉さんになるなんて...」

葵「いもうといないってば...」

美結「できるんだよ、可愛い妹が」

美結「それと...///」

葵「...」

ベッドに座る美結は葵に手を差し出す。

美結「おいでˆ ˆ」

葵「なに?」

美結「膝に乗って」

葵「...なんで?」

美結「温めてあげる」

葵「いや、いい...」

美結「いいから」

美結は葵を抱き上げて膝に乗せる。

葵「...」(俯く)

美結「恥ずかしいの?」

葵「されたことないから」

美結「パパとかママに抱っこされない?」

葵「...うん」

美結「...」

美結「よしよし...寂しかったね...」

美結は葵の頭を優しく撫でる。

葵「...」

美結「葵...」

葵「...?」

美結「...」(葵の頬にキスをする)

葵「?!...」

美結「愛してる...」
葵「...」

美結は小さな葵の背中に寄り添い目を閉じる。

美結「(貴方は、私の...)」

美結「(未来の彼氏だよ...😌)」







美結「......っ」

目を開けると、葵の背中に乗っている自分。

美結「葵...?」

葵「目が覚めた?」

葵「もうすぐ美結の家に着くよˆ ˆ」

美結「...」

美結は帰り道、葵の背中で眠って

夢を見ていたと分かる。

美結「...夢を見てた」

葵「どんな夢だったの?」

美結「なんかね...ベッドで目が覚めたら...」

美結は葵に夢を話す。

葵「あはは...(笑)僕の子供の頃だね」

美結「やっぱりそうなの...?」

美結「じゃあ親に愛情受けてないのは...?」

葵「それも本当だよ」

美結「っ...」

葵「両親は毎日忙しかったからね」

美結「...小さい頃からだったんだね」

美結「寂しかったね、葵...」

葵「...今は美結が居るから寂しくないよ😌」

美結「...」

美結「(もう大人なのに今でも)」

美結「(葵に甘えてたな...子供のように)」

美結「(...今度は葵を甘やかしてあげたい)」

美結「葵」

葵「?」

美結「明日、赤ちゃんプレイしよ」

葵「赤ちゃんプレイ...?」

美結「葵が赤ちゃんね」