美結「問題!」

美結「1+1=?」

葵「2!」

美結「正解!」

美結「じゃあ、美結+葵=?」

葵「...カップルだね」

美結「///...」

美結「ねぇ...美結と葵を引いたらどうなるかな」

葵「引いても愛は変わりないよ」

美結「俺と他の女の子を足してもいい?」

葵「僕と美結の愛には及ばないけどね」

美結「えへへww...///」

美結「じゃあかけちゃおう!」

葵「かけても倍にしても同じだよ」

美結「...」

美結「調子乗んな!チビ!」

葵「...その言葉、久々に聞いたな(笑)」

美結「懐かしいねw」

美結「あの頃の葵くん可愛かったなぁ...」

美結「今も可愛いけど♡」

葵「まだ子供だったね〜...」

美結「えへへ...」

美結は絵を見せる。

美結「あの頃の葵くんを描いたよ」

葵「えっ...嬉しいˆ ˆ上手だね」

美結「葵が画になるんだよ」

美結「今度、葵の中学の頃の写真ちょうだい」

葵「いいよ〜」

美結「ホント?!やった///」

葵「アルバム持って行くよ」

美結「えっ!あ...中学の頃だけでいい!」

美結「ドキドキしちゃうから」

美結「...あっ」

美結は葵の過去の話を思い出す。

"中学1年生の頃、ナイフで..."

美結「...」

表情が曇る美結。

葵「...?」

美結「やっぱり...持って来ないで」

葵「いいの?」

美結「うん、苦しくなるから」

葵「...苦しくなっちゃう?」

美結「なんでか分かる?」

葵「...」

葵「僕の過去...とか?」

美結「...w」

感が鋭い葵にニヤける美結。

葵「ごめんね...傷つけちゃったね」

美結「謝らないで...知れて良かったと思ってる」

葵「今は幸せだから」

美結「うん...知ってるよ」

美結「でも、過去はなかったことにはならない」

美結「だから...その傷に重ねたい...」

美結「葵のこと刺していい?」

葵「...」

葵「いいよ」

美結「...」

突然の発言にも微動だにしない葵。

美結「...行こ」



美結は葵を連れてDAISOに来た。

美結「...」

料理用具を見回す美結。

葵「...」

美結「どれにしようかな」

美結「...あっ」

美結「葵が未遂した時のナイフ今もある?」

葵「もうないよ」

美結「その日に捨てられたの?」

葵「...きっとね」

美結「はぁ...なんで捨てられちゃったのかなあ」

葵「血が付いちゃったからね...」

美結「その後のこと考えなかったの?」

美結「親が買ったナイフを汚しちゃうって」

美結は酷いことを言ってると自覚するが

感情を抑えられず。

葵「その時は何も考えられなかったかな」

美結「精神逝ってたの?」

葵「うん」

美結「...」

美結「今からまたその悲劇が再来するよ」

葵「...」

葵「美結に刺されるなら幸せだよ」

美結「...」

美結「ˆ ˆ」

美結「ど〜れ〜に〜し〜よう〜かなぁ〜」

(ハッピープーライムパーラダイス♪ダイソー)

あのテーマソングが始まる。

美結「...」

美結(こんな時に?)

(ハッピープーライムパーラダーイースー♪)

美結「ハッピー葵ーパーラダーイースー♪」

美結「このナイフで人の体を切れるのかな...」

葵「力がいるかも...」

美結「...」

美結は店員に近付く。

美結「すみません」

店員「はい」

美結「切れやすいナイフってどれですかね...」

店員「...」

店員はナイフを見に行く。

店員「どれも同じだと思いますね...」

美結「なるほど...分かりました」

美結「...じゃあこれにするか」



ナイフを購入して店を出ると、

近くの小さい神社に入る。

美結「4年前ここにも初詣に来たんだ」

葵「いい場所だね」

美結「でしょ」

美結「...」

美結「仏様、怒らないでね」

美結「葵に傷を入れるのは愛故なんだ」

葵「...」

葵「分かってくれると思うよ」

美結「俺...不器用だから上手に刺せない」

美結「葵のこと殺しちゃうかも」

葵「浅い傷なら大丈夫」

美結「腎臓を刺したら...死んじゃうよね」

葵「行き届かなかったら大丈夫だよ」

美結「...ごめん、葵」

美結「俺は葵の腎臓を刺したい」

葵「...」

葵「一か八か...だね」

葵「美結がいいならいいよ」

美結「...もし、葵が死んじゃったら」

葵「あの世で待ってるよ」

美結「浮気しても怒らない?」

葵「...そうなったら美結を道連れだね」

葵「でも、美結は僕以外愛せない」

美結「...それはどうかな?」

葵「僕の命を奪うぐらいだから」

美結「...」

(サッ)

美結はパッケージを破ってナイフを取り出す。

美結「浮気しちゃうよ♪」

美結「葵を殺せばもう何も怖くないもんね」

美結「道連れも出来ない」

(バッ)

おちょくる美結からナイフを奪い取る葵。

葵「じゃあ僕も美結を刺すねˆ ˆ」

美結「っ...」(後退り)

葵「...」(近付く)

美結「怒ってる...?」

葵「それが本気ならね...」

美結「...」

(バッ!)

強く葵を抱き締める美結。

美結「可愛い」

美結「焦ってるの?」

葵「...」

葵「それだけ愛してるってことかもね」

美結「...俺も愛してるよ、殺したい程に」

葵「美結...」

美結「葵...」

美結はナイフを持つ右手を葵の腹部に近付ける。

美結「...」

冷たい刃先が服の上から肌に触れる。

葵「...」

前にネットで調べた

体の部位の画像を思い出して腎臓を狙う。

美結「...ここで合ってる?」

葵「もう少し右かな」

美結「...ここ?」

葵「うん、その辺り」

美結「ねぇ葵...」

葵「うん...?」

美結「今どんな気持ち?」

葵「...ドキドキしてるよ」

美結「恐い...?」

葵「恐くない」

美結「あの日を思い出してる?」

葵「...少し」

美結「...」

容赦なく葵の腎臓に向かって

ナイフを押し込む美結。

葵「...」

美結「...」

しかし、思ってたよりも刃先が丸いナイフは

肌に刺さらない。

美結「...」

葵は当時、あの年齢で、想像を超える力で

生死を彷徨わせたのかと考えると胸が痛む。

美結「っ...」

(カチャンッ...)

地面にナイフが落ちた時、座り込む美結。

美結「...」

葵「大丈夫...?」

俯く美結を心配する葵。

美結「やっぱり無理」

葵「...うん」

美結「はぁ...なんで...」

葵「もう美結の愛で重なってるよ」

美結「...」

(♪〜)

葵のスマホの着信音が鳴る。

葵「あ...ちょっとごめん」

少し離れて電話に出る葵。

葵「もしもし」

葵「...うん、どうしたの?」

美結「...」

その口調から電話の相手は

会社ではないと分かる。

葵「今、ちょっと遠くにいるんだ」

葵「...ごめんね、後でかけ直すよ」

美結「...」

電話を切る葵。

葵「いいよ、ごめんね」

美結「誰?」

葵「蘭だった」

美結「...」

あの日が過る。

美結「なんで電話してきたの?」

葵「今、両親と遊びに来てるらしいんだ」

葵「でも今は会えないから」

美結「...会いたいって言われたの?」

葵「いや、言われてないよ」

美結「...」

葵「...まだ気にしてる?」

美結「蘭ちゃん、葵のこと」

美結「諦めてないんじゃないの」

葵「それは大丈夫、ちゃんと話したよ」

美結「...」

美結「葵の臓器を刺す日は来るよ」

葵「...」

美結「その時はお互い刺し合って」

美結「最期は一緒に殺し合って逝こう」

葵「うん」

美結は葵の頬にキスをした。