最近パリから帰国した葵の家族。

高級車から下りてきたのは、

華やかなフリルドレスを着た三つ編みの妹。

久々に再会した妹を抱き締める葵の姉らしい姿を

美結は眺めていた。



美結「...蘭ちゃんだっけ、大きくなったね」

美結「最後に見た時はまだ幼稚園だったよね」

葵「そうだよ〜」

美結「あの頃...俺は葵の妹に嫉妬してさ...」

美結「いつも葵の妹になりたいって思ってた」

葵「あはは、可愛いね」

美結は9年前に描いた絵をスマホで葵に見せる。




葵「...嫉妬しちゃってたんだね」
美結「でも、今の俺は嫉妬しない」
美結「葵は俺以外見えないって分かってるから」
葵「うん、そうだね」
美結「...」
美結「俺、ヤな想像しちゃった」

葵「うん?」

美結「...葵と蘭ちゃんが家で二人きりでね」

美結「蘭ちゃんの服に手を入れて胸を撫でて」

美結「ドキドキした蘭ちゃんが好きって言って」

美結「葵が僕もだよって...」

葵「ははっ、それはないよ〜(笑)」

葵「それと蘭はまだ13歳だよ」

美結「知ってる」

美結「でも俺の初経験も13で女同士だ」

葵「...美結はそれ、経験って言えるのかな?」

美結「だって相手の下、生で触ったし」

葵「相手はトマトちゃんだよね...」

葵「美結を裏切った...」

美結「トマトだけじゃない」

美結「中学生になって一ヶ月経つ頃も」

美結「学校の帰り道、初めて話した悪い女に」

美結「店のトイレに連れて行かれて胸を揉まれ」

美結「ブラウスのボタンを2つ外されかけた」

葵「...それがいじめの発端だね」

美結「初めてが彼奴らだとは思いたくねえわ」

葵「思わなくていいよ」

葵「美結の初めては僕だよ」

美結「...うん///」

美結「...」

美結「俺、葵を見てるといつも思うんだ」

美結「一緒に逝きたいって」

葵「ˆ ˆ」

葵「僕も美結と一緒に幸せに生きていたいよ」

美結「...違うよ」

葵「?」

美結「一緒に死にたい」

葵「...勿論だよ」