私と鞠がどう違うかと言えば……
姉の鞠は仕草も言葉遣いも可愛らしく、誰にでも優しい性格をしている。
ただ、小さい頃から体が弱かった。
調子が良ければ適度な運動は可能だが、激しい運動をすると倒れてしまうことがあったため、今も体育はできる範囲でやっている。
その上天然かつおっちょこちょいなのでどこか目が離せない。
ふんわりした雰囲気や喋り方、声に、家族ですら癒される。
その可愛らしさとは打って変わって正反対なのが私。
しっかり者で男っぽいサバサバした性格に言葉遣いですら可愛くない。
健康だけが取り柄といってもいいほど健康体で。
本当は性が男だったところを、神様がうっかり間違えたのではないかと思っている。
鞠が女の子らしく儚い印象だとすれば、私は男っぽく図太い。そう、見た目以外まるで正反対なのだ。
それなのに……
「性格も、好きな服や音楽も、全然違うのになあ……」
わかってる。私が二人の邪魔をしていたことくらいは。
私がヤギさんを好きになってしまったことだけが、予定にない不協和音だった。
「柳沼はそこらの男子より落ち着いてるからね。それに見た目同じだった繭と鞠ちゃん判別できる男子って、そりゃあときめくに決まってんじゃん」
「…………」
優菜は慰めるように、よしよし、と私の頭を撫でてくれる。
彼女が言っているのは、入学した後すぐに行われた初めての学年でのオリエンテーションのこと。