「なに…?どういうことだ?やめてって……だって、きみは僕の婚約者じゃないか…、なあ、そうだろう…?」


「……気分が、優れないんです」



はあはあと、心臓をぎゅっと押さえた。

こんなことをまたお母さんに知られてしまえば、とうとう私は地下室かどこかに閉じ込められてしまうかもしれない。



「いつから…具合がよくないんだ?車に酔ったなら言ってくれと、いつも言っているじゃないか」


「……食事が…、口に合わなかったみたいで…」



この人の間違った優しさというものに、私は甘えている部分もあった。

なにをしても反抗期だとかワガママだとか、大体はいつもそれで許してくれる婚約者。



「どうしてそんな嘘をつく…ッッ!!」



けれど私が我慢の限界だったように、この人もまた同じだったみたい。