暗闇のなか、海真くんはスマートフォンを取り出して調べては眩しさに閉じた。

石ってことじゃん、なんて感想が面白くてワンテンポ遅れて笑ってしまう。



「おもしろい?」


「うん。ふふっ」


「…たのしい?」


「…たのしい。ありがとう海真くん」



いっぱい初めてを教えてくれるね。

海真くんと見る景色はどれも予想外で、想像もできなくて、笑顔にしてくれる。


海真くんの匂い……、すごく好きだなあ。


とか思っていたら急に恥ずかしくもなって、けれどまさか彼の襟元にすんすんと鼻を当てていることにも気づかなかった。



「……酔いそ」


「えっ、酔う…?」


「…うん。ののちゃんの柔らかさに」



ぶわわっと、全身から熱が吹き出した感覚がした。

海真くんはそういうことは言わない男の子だと勝手に思っていたけれど、17歳の男の子だ。


私が緊張を感じて気にしているならば、彼だって同じなのだと。


それにしても柔らかさって………、



「あっ、当たってる…!?」


「……当たってるって、なにが?」


「いやっ、その…っ」



反射的にも押し返してしまう。

けれど、逆に引き寄せてくるんだ海真くんが。