「ここに…、」
「うん?」
「……ここに、私も住んじゃ……だめ、かな」
「……………」
食べ終わって、手持ちぶさた。
だからといって言っていいことと悪いことがある。
最後のひとくちを食べようとしていた彼の動きさえ、止まった。
そこで自分がバカを言っていると理解するんだから、私ってひどいね。
けれど、返ってきた言葉は予想外。
「ぜんぜんいーよ?」
「……え……?」
「いいんじゃない?あ、でもおれ学校とかバイトがあったりするけど……いっか、いっしょに行けば」
とくに制服は見当たらないから、学校と聞いて新鮮味のようなものを感じた。
あの小さなバーで働いている。
でも年齢は私と同じ17歳。
世の中、いろんな人がいるんだ。
「狭くてへーき?一応はバストイレ別だけど、独立洗面台なんかないよ。女の子ってたぶんぜったい必要じゃん。
あ、違うか。ののちゃんみたいなオジョーサマの場合はドレッサー的なやつ」
あなたはそんなふうに笑うんだって、そんな素敵な顔をしていたんだって。
暗闇すぎて私たちはよくお互いを見ていなかったんだ。
キラキラと瞳を輝かせて、どこか少年みたいだった。