愛でした。

これしか言えないくらい、愛すぎました。


ある意味で海真はヒーローらしくないヒーローだったと思います。


古く狭い家に住んで、定時制高校に通い、才能があるにも関わらずピアニストになろうともしていない。

100円ショップで食器を揃えて、激安スーパーや古着ショップに女の子を平気で連れていく。


これだけでも物語に出てくるような王子様とはかけ離れていますよね。


偏見かもしれませんが、そのような男の子に対する俗世間の女の子からのイメージはどちらかと言えば、第一印象はマイナス寄りでしょう。


でも、どう考えても海真は格好いい。

理人が伝えたい極論としていえば、これだけです。


間違いなく海真はお嬢様な乃々にとっての“王子様”だったんです。


そして乃々もお嬢様をやめてまで家にバイトに学校、彼女は海真の人生を同じように歩くことで、彼の孤独を理解して分かち合おうとしているんですよね。

そんなのもう、奥さんなんですよ。



そんな乃々の人生こそ、海真が証明したかった「愛」だったんじゃないかなって。



たとえ海真が記憶を忘れてしまっていたとしても、ぜったいふたりなら大丈夫、また笑いあえると分かっていたからこその結末です。


これほんと何度も言っている気がするのですが、目に見えないものこそが本物だと、理人は思っています。

そして理人の座右の銘でもあります。



「孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。」



最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。




◇理人◆