私の生活はいま、こうなっていた。


ずっと私はここにいるって、あなたを置いてはいかないって。

約束したもんね、海真くん。



『藤原さんも、こんな中身のない名前に執着するのはもうやめて』



そして最後は、遠坂家にずっと仕えていてくれた使用人だ。


もう使用人も家政婦もする必要はない。

そう言った私に、彼女はうなずきながら穏やかに瞳を伸ばした。



『せめて、乃々さんが高校を卒業するまでを私にも見守らせてください。家政婦でも使用人でもなく……ひとりの母として』



彼女とは今も連絡を取り合っている。

ちゃんと食べていますか、無理はしてはダメですと、電話をするたびに本当のお母さんのように言ってくる。


そんな藤原さんとは、この先も続いていくんだと思う。



「ーーー、ーーちゃん、───のっちゃん」



体育の次は数学。

体育館から移動していた夜の渡り廊下でトントンと肩を叩いてきたのは、いちばん打ち解けられた同い歳でもある金髪の女の子だった。