『ああ…っ、乃々、ごめんなさい、あなたの言うとおりにしていればよかった……っ、許して、お母さんを許して…っ』


『…許さない』



ただ泣きながらすがり付いてきたお母さんだけは、私はとうとう母親だと思うことができなかった。

お母さんもお母さんでアメリカで関係を持っていた起業家が違法賭博をしていたらしく、そちらも大問題となっている。


遠坂家の名が持つ価値はすでに消えつつあり、私はそういう理由でもお嬢様学校には通えなくなったのだ。



『でも今、少しでも私に本心から謝罪する気持ちがあるのなら………娘が高校を卒業するまでは、せめて母親として支えてください』



そして私は完全に実家を出て、現在は彼とのアパートでひとり暮らしている。


定時制高校に通い、アルバイトをして、そこに母親からの支援。

眠りつづける彼の治療費に関しては、たとえ今後どうなろうと慰謝料含めて払うといった誓約書を警察を通して財前家から渡されていた。