「お金さえあればなんでも揉み消せる世の中だと思ってた~。けど、それで耐えられなくなるのは結局は本人たちってことだね」


「…まって。そんな頭脳派な会話しないでよついていけない」


「あ、ごめん」



こんなことあるのかと思うくらいに、まるでドミノ倒しのような崩壊だった。


それは本人たちが罪を認めたから。


もし今までのように沈黙を貫くというならば、ここまでの大事にはならなかったかもしれない。

けれど雇われていた使用人たち全員までもが認めたことが決定打だった。


そのなかでも先陣を切った存在は、なんと思ってもいなかった人物で。



『ぼぼぼっ、僕は何もしていないぞ…ッ!!きみが悪いんだっ、これはっ、これは神の命令なんだ……!!』



あの事件があって以来、布団にくるまって家から一歩も出なくなった財前 一朗太。

私はそれまでは疑問程度だったが、その姿を見て確信をした。


すべてこの人がお金を使って命令したことだったんだ───と。