いろいろ考えてた。


桜が見える場所で言うのもいいな、とか。

店長たちに協力してもらってバーで小さなパーティーをする、とか。


でもおれが今いちばんそうしたいなって思うプロポーズは、目が覚めたとき気づくようにののちゃんが寝ているあいだに指に通しておく。


それがいちばんおれらしいって、思ったんだ。



「さっきの、買います」



気づけば言っていた。

袋を持っていると帰ったときさっそくバレてしまうから、会計を済ませたらポケットに入れて店を出る。


本当に小さな箱に入れてくれるんだな…って、なんか不思議な感じだ。



「やば、雨降りそ」



ののちゃんが家で待ってくれている。

また傘を持って迎えに来ちゃうかもしれないから、おれは小走りに近道ルートから帰ることにした。


…………それが、ダメだったんだ。



「水渡 海真、みーっけ」



知らない男だった。

今までおれが街でぶつかっては殴って殴られての奴らじゃない、目の前を塞いできた2人は。


どちらかといえば人生を犯罪になげうっているようなチンピラ寄りの半グレといった雰囲気だ。