「店長さん……っ、玖未さん…!!海真くんっ、海真くんは……っ」



私が病院に駆けつけたとき、案内された個室で肩を並べるふたりがいた。

私が呼びかけて数秒してから、ふたりはゆっくり振り返る。


玖未さんは涙を拭うことすらすでにしていなく、普段はとてもクールな店長さんまで飲み終わった缶コーヒーをつぶしてもなお、握りしめていた。



「手術は行われた。刺された箇所は幸いにも致命傷にはならなかった。命に別状はない」


「よ、よかっ───」


「だが……、目は、醒めない」


「………え…?」



今は、ということでしょ…?

そこまで大きな傷を負ってしまったから、回復するまで時間がかかるんだ。


けれど、不安ななかでも安心を感じているのは私だけだった。



「…あたまを強く打ったらしいんだ。かなり重要な脳幹をやったみたいで、一応はそこも手術はしたが……、意識を取り戻すのは奇跡に近い…らしい」



つまり植物状態だ───と。

それを聞いて口元を押さえた玖未さんと、店長さんの頬に伝った一筋がすべてだった。