「だとしても私が海真くんを裏切ったことは変わらない…、いっぱいひどいことした……。けど、…けど…っ、海真くんが死んじゃったって思って、もう本当に会えないと思ってすごくすごく怖かっ───、っ、」



今日はきっと涙は止まらないのだと思う。

この柔らかさとこの甘さを、私はずっとずっと待っていた。


噛みつくようなキスは、びっくりするほどやさしい。



「おれちょっと怒ってる。オジョーサマ、ワガママすぎんだもん」


「お嬢様扱い…っ、やめて…っ、私いつもいつも……嫌だった…」


「そりゃ無理だろ。だってオジョーサマじゃん。コンビニや100円ショップにも行ったことない世間知らずで、スーパーでは値段も見ずに何でもかんでもポイポイ買ってさ。しまいには得意料理はアクアパッツァとかワケわかんないこと言うオジョーサマ。……でも、」


「……っ、…んん…ッ」


「そんなオジョーサマを好きになっちゃったんだよ、おれは。だから振り回されんのだって…覚悟のうち」