私のことは許す必要なんかない。

でもせめて、今までどおり海真くんを愛していい権利と資格が欲しいの。



「いつまでやってんのさ!こんなとこでふたりして凍え死ぬつもりかい!」



そのとき。

隣のドアから出てきた、スウェットパーマさん。


ふたりでいっしょに視線を移した。



「うっるさいのよさっきから!…ほらそこのミステリアスボーイ!さっさと彼女を家に上げてやんなっ」



まったくもう、と言いながら、ぶるっと身体を震わせて再び家へと戻ってゆく寸前。

ピタリと止まってからもう1度私たちへと顔を向けてきた。



「熱い再会かもしれないけどね、声、すこしは抑えなさいよ。あんたらってばいつもいつもあたしの睡眠妨げてたんだから!」


「……抑えるって、どうやって」


「キッスでもなんでも、とりあえず女の口なんか究極に柔らかいモンか究極に硬いモンで塞いどきゃあいいのよ。…なによその顔、揃ってそんな目ぇしてんじゃないわよ!あたしが変態だっての!?」


「「……………」」


「なっ、いいから入れ室内に…!!こんなとこでロミジュリしてどーする気なのよっ、あっ、ちょっと電話…!いいね!?さっさと仲直りしなさいよ…!?」