カウンター内には店長さんがいて、クールにシェイカーを振っている。

そんな店長さんの前には必ず玖未さんが座って、お馴染みの誘い文句を言っては同じように受け流されての繰り返し。


私を救ってくれたのは海真くんだけじゃなく、あの場所もなんだ。



「………わか、った……」



さようなら、海真くん。


ここにずっといようって約束していた。

どうなるか分からないけど、ふたりなら大丈夫って気持ちひとつで。


やっぱり最終的には無理やりにでも拐って逃げることになるかもだけど、ぜったい私を守ってくれると言っていた。


私はまだ17歳で、あなたもまだ17歳なのにね。



「…ん…、ののちゃん……?」



決行の日の夜中、寝ぼけている海真くんに初めて自分からキスをする。

夢から半分しか覚めていないようで、幸せそうにふにゃりと頬を緩めながら私の身体に腕を巻きつけてきた。