「そうなりますと、つぎは大家さんの審査に通るかどうかの問題となります」


「審査…」


「はい。それが通ってはじめて本契約を結ぶ形です。もちろん私もできる限り全力を尽くしたいと思っておりますので」


「…よろしくお願いします」



気に入ったからここに住める、ではない。

あくまで私たちは客。
決めるのは私たちじゃない。


けれど海真くんは、大きな覚悟を瞳に宿していた。



「あたしも結局、最後のとこがいちばん良かった気がするわ」



あやふやだった物件探しがなんとか固まった帰り道にて。

玖未さんはんーっと両腕を空に伸ばしながら、私たちに笑いかけた。



「想像できたもんすっごい。未来の。ねえシュウさん!」


「ああ」


「ってことであたしたちの未来も想像しちゃう?ね、ねっ」


「……………」


「無視!?それはないって~!!」



がんばれ玖未さん。

すべてに諦めて暗闇を見ていた私が彼に出会って救われたように、いつか玖未さんも店長さんにとってのそんな存在になれるかもしれない。


本当は、すでになっているのかもしれない。