「でも実際はそんな器用じゃないってことに自分でも気がついたんだ。だから今、ひとつのことに命を懸けるって決めたんだろうな」



それが乃々だったわけだ───、


迷って揺れる心に、「自信を持て」と言ってくれてるみたい。


私は堂々としていていいのだと。

それほど海真くんにとってのすべてになっているんだ。



「海真くん。私ね、冬休みにアメリカに行こうと思ってるの」



そして私は、ひとつの決断をする。

冷蔵庫からお茶を取り出してグラスに注いでいた手がピタリと止まった。



「…クリスマス?その、例の集まり的な」


「ううん。クリスマスは海真くんと過ごしたいから、他の日に行くの」



お茶を飲むことなくキッチンに置いて、私に近づいてくる。

個人的な理由で行くと付け足した私に怖くなったのか、「だめ」と言いながら抱きしめてきた。



「おれ、ののちゃんを閉じこめたい」


「…うん」


「だれにも見られないようにして、だれにも触られないようにして。…だっておれだけの乃々でしょ?」


「うん。海真くんだけの」