「しよーね。18歳になって高校卒業したら、ぜったいしよ」



しつこいメッセージも電話も、いっさい来なくなった。

両家の親にはとくに話すことはできていないけれど、お互いに何もアクションは起こされない。


あのあと警察に通報しようか迷ったが、そうすることで逆に私たちが一緒にいられなくなるかもしれないと止めたのは海真くんだった。


だから財前 一朗太のことはもう、忘れるの。



「ええ、祭り行ったことないの?屋台いっぱい出て絶望的な治安を感じるけど人情も感じるっていう、あの謎イベント」


「社交パーティーならあるよ」


「うわ、オジョーサマはやっぱパーティーになんの。ちがうちがう、ぜんぜん違うから。んじゃあ夏ね、いっしょに行こっかお祭り」


「うん。行きたい」



浴衣くらいは買っておこっかな。
いいや、店長が持ってそうだな。

借りよ───と、冬がもうすぐだというのに夏の予定を立てる時間が好き。


私が眠るまで必ず起きていて、いつも話しつづけてくれる海真くん。