「うあ……ッ!───ぐはァ……!!!」



ドンッ!と、ドアが開いて。

私に馬乗りをしていた男が掴まれて、また重いドガッッという鈍い音がして。


そうしたら今度は叫び声が聞こえて、本棚がぐらりと揺れた。



「おまっ、おまえ……!なぜ起きているんだよ……!!」


「……海真、くん」



すぐに私の身体にバサッとかけられたジャケット。

それは海真くんが着ていたもの。


今にも飛びつきたかったのだけれど、背中からでも分かる雰囲気にそんな安易なことはできそうになかった。



「今のはおれたちにクスリ盛ったぶんと、ののちゃんを泣かせてくれたぶん」



本棚にまで吹き飛んだ財前さんへと、彼はゆっくり近づく。

痛い、鼻が折れた、目が見えない、と、殴られたほうはひとりで騒いでいた。



「あとは脱がせてくれたぶんと、乱暴してくれたぶん……1回ずつ丁寧に殴ってもいいんだけど」


「ひっ…」


「でもそしたら…本当におまえを殺しちゃうかもしんない、おれ」


「ひぃぃ……ッ」



どんな顔をしているんだろう。

彼が冷静に話せば話すほど、うずくまるように財前さんが悲鳴を上げる。