海真side




「岡林、乃々は僕の部屋に運んでくれ。そいつはどこでもいい。…留美子、あとは頼んだぞ」


「好きにしていいのよね?」


「ああ。たくさん写真でも撮っておくんだ」


「ふふふ」



やめろ、ののちゃんに触るな。
その子はおれのだ。

待て、まて、ののちゃんを返せ。



「お金も大切だけど、やっぱり顔も大切よねえ。……ローマの彫刻…、確かにアンティノウスっぽいかしら」



さらりと頬が撫でられる。

意識は完全に消えてはいないが、もう少し時間が必要だった。



「ねえ、そこの使用人。この子をベッドがある部屋まで運んでくれる?」


「かしこまりました」



おれは一時期、大量の睡眠薬を飲んで過ごしていた夜があった。

そうでなければ眠りにつけなかったから、飲むしかなかった。


だから耐性はついてるはずなんだ。


かなり強力なものでなければ、普通よりは早くに薬が切れる。