「ねえ、ののちゃんはおれの奥さんじゃないの?」


「えっ、いや……」



そして家に帰れば、こんなふうに甘い時間。



「ちがうの?」


「い、今は…まだ…、17歳は法律的にも…」


「じゃあいつかは?」


「……うん。なりたい、な」



なんにも解決していない。

でも逃げたのだから、これでいい。
すべてを放り投げて考えないようにする。


逃げるとはそういうことだと理解した上で、私たちはこうして触れ合っている。



「ののちゃん。かわいすぎ」


「っ…、ッ、……恥ずかしい…」


「…恥ずかしい?隠さないで見せて」



ふたりぶんのお茶碗、ふたりぶんの箸、ふたりぶんのコップ。

ふたりぶんの歯ブラシに、ふたりぶんのバスタオル。


どうしてもっと早くにここに来なかったんだろうとまで思わせてくる、まるで夢みたいな場所だ。