「え~、おねーさん聞いてんぞー。いっしょに暮らしちゃってんだって?」


「そ、それはっ、……そう…、ですが」


「はっはーん。悔しいけどこいつは普通にイイ男だから。乃々ちゃんそこは安心してよーし。でしょ、海真」


「まあね」



彼女は玖未(くみ)さんといった。

見た目も可愛いより綺麗系で、スラッとした姉御肌なお姉さんだ。


ただ少しお酒が入ると賑やかになるというか…、今日にもお店にやってきた迷惑客を一瞬にして追い返したという伝説の持ち主。



「…大事にしなよ、海真」


「……もちろん」



頬杖をつきながら、玖未さんは瞳をそっと伏せた。

けれどつぎの瞬間、バンっとカウンターテーブルが叩かれる。



「ってことであたしらも結婚しようよぉシュウさん!」


「無理だ。俺は結婚には向いてない。紹介ならしてやれるが」


「それってあたしに1ミリも妬かないってことじゃん~!!酒だあ!こうなったら酒クズ会だっ、ほら海真っ、さっさと持ってこいや酒ェ!!」


「……ちゃんとお金は払ってよ、おばさん」



店長さんである秀太(しゅうた)さんと玖未さんがいつか結ばれることを願って、私は楽しくて笑った。