「そ、そうだね」

「いや、でもあんなにちっちゃいのに自力で帰れるわけない……よな?」

彼はまだ納得できないって顔をしてる。

それはそうだよね、いきなりあの猫の飼い主が私ですって言われてもすぐには頭が追い付かないよね。

「猫宮が俺んちに迎えに来たのか?どうして俺の家が分かった?」

「ええと、それは……」

後先考えずに彼に告げてしまったことを悔やんだ。細かい設定なんて考えていなかったからちゃんと答えられない。

「ごめん、とにかくそういうことだからあの猫のことは心配しなくても大丈夫だから」

そう言って、まだ狐につままれたような顔をしてる彼を残して走って保健室を出た。

「ちょっと待てって、まだ話は終わってないだろ」

廊下に飛び出した私はすぐに追いかけてきた一条くんにつかまって腕を掴まれた。

ひええ、彼って思ってたよりしつこい……ってよほどバニラのことを気にかけてくれてるってことなのかな。