「う、うん。ねえ一条くん」

「ん?」

「一条くんの探し物って何?」  

どうしょう、私身体中の血が逆流してるみたいに熱い。

これ以上はダメだって本能でわかっているのに止められないの。

「……」

「それは一条くんにとって大切なもの?」

「そうだよ」

少しも躊躇せずに答える彼を見たらもう泣きそうだった。

その瞳は澄んでいて、吸い込まれそうなくらい純粋で。

もう知らん顔なんてできないって思った。

「探しているのは猫?」

「……っ」

「手のひらに乗るくらいの小さい白猫?」

彼は息をのんで私を見つめる。

「あいつのこと知ってるのか?」

身を乗り出すようにして私を見下ろしてきたから顔が熱くなる。

ち、近い……ような気がする。

「うん、知ってるよ」

「今朝いなくなってたんだ。どこを探しても見つからなくて」

「それなら大丈夫だから。ちゃんとうちに帰ってる」

「どういうこと?え?おまえが飼ってる猫なのか?」