まじまじと見つめられたから、恥ずかしくなって顔を背けた。

「な、なに言ってるの?クラスメイトなんだから見覚えがあって当然だよ」

「いや、そうじゃなくて。他の誰かに似ている気がして」

「……」

まさかとは思うけど、猫のバニラに面影を重ねてるなんてことはないよね?

もしもほんの少しでも疑われたら大変!

私は顔を引き攣らせながら後ずさりした。

「そ、そ、それはきっと人違いだよ」

「どうした?」

「ちっ、違うから」

「あ、わるい、怖がらせたか?」

私があんまり焦っていたからか、彼はぶっきらぼうに謝ってきた。

別に怖がっているわけじゃないんだけどな。

「俺、おまえみたいな女子からは嫌われるから」

首の後ろに手をあてながら困ったように眉を下げる。

そうなのかな?どちらかと言えば、女子達から遠巻きに熱い視線を送られているような感じだけど。

でもおとなしい子からしたら確かに怖がられちゃうかも。

私だってはじめはそうだった。