「あ、あのねこのシュシュは花音ちゃんからもらったものでね。私の宝物なの。だから見つかってすごく嬉しい」

ほんとにほんとに、見つかってよかった。

私は安堵してそのシュシュに頬ずりした。

「よかったー」

すると、フッと息を吐く彼。

え、もしかして笑われてる?うわぁ、ちょっぴり恥ずかしい。

一条くんは笑いを噛み殺してこう言った。

「良かったな、探し物が見つかって」

「う、うん」

「大事にしてるものが無くなると辛いよな」

「……」

彼の目を真っ直ぐに見れなくて俯いた。

私の探し物は見つかったけど、彼の方は見つからないんだ。

それは、私が必死で隠そうとしているから。

正直に言えない秘密があるから。

「あれ?そう言えば」

すると、彼は突然顔を近づけてきて私を覗きこむ。

「猫宮の表情やしぐさ、どこかで見たことがある気がする」