思わず悲鳴を上げてしまった。

なんと私を見下ろしていたのは一条くん。

彼は床に四つん這いになっている私に目を丸くしている。

「おまえ猫……」

「猫宮ですっ」

また名前を間違われる前に急いで自分から名乗った。

「そうだ猫宮。こんなとこで何やってんだ?また体調を崩したのか?」

「ううん、違うよ。もう私、元気だから」

上体を起こして立ち上がる。そして長身の彼をまっすぐに見上げた。

「探し物をしてて」

「そっか、お前もか……」

そう言った彼の表情が曇ったように見えた。

「あ、あの、一条くんも何か探してるの?」

ドキドキしながら上ずった声で尋ねた。

ひょっとして彼が探しているものって……。

「ちょっとな」

彼が言いにくそうに濁したからそれ以上は聞けない。

「あ、そうだ。一条くんひょっとして昨日ここに連れてきてくれた時に私がピンクのシュシュを付けていたこと覚えてるかな?」