一条くんと同じ部屋で眠るなんて緊張しちゃうけど、なんとなく彼のそばにいたら安心できる気がした。

『俺が守ってやるからな』 
 
保健室で彼が言ってくれた言葉を信じているからかもしれないな。

彼の寝顔を見ながら考えごとをしていた私はなかなか寝付けないでいた。

夜中の2時頃、カタカタと鳴る窓の音と猫の鳴き声が耳に飛び込んできたから、慌てて身体を起こした。

ニャー、ニャー。

心の底から悲しそうな鳴き声。

どこかで聞いたことがある気がする。

え、うそ、あの声は……。

その声の主に思いあたった私は飛び起きた。

もしかして、来てくれたの?

仏壇のある隣の部屋から漏れ聞こえる声。

隣の部屋に通じる障子は小さく開いていた。

走っていくと、仏壇の前の座布団に座る白い母猫の姿が月明かりに照らされていた。

目の色は紫で気品高い顔立ち、数々のあやかしの力を持っている化け猫の母は妖しいほど美しい。

「ニャアアン」