「シロ」

あまりの安直さに閉口してプイと顔を背ける。

「だめか、じゃあタマ」

一条くんて、センスないな。

「ミケ」
「ニャンコ」
「ホワイト」

その後も、壊滅的なネーミングセンスを見せつけられたから知らん顔をした。

そして、最後にポツリと呟いた。

「バニラ」

え?

バニラって、なかなか可愛いかも、うん。

思わず彼に顔を向けたら、満足そうに頷いてる。

「じゃあバニラに決まりだな」

「ニャン」

明日になったら私は絶対にお兄を見つけて自分の家に帰るつもり。

名前をつけてもらってもどうせすぐにお別れになっちゃう。

だけど、少しの間だけならいいよね。

私は子猫のバニラ。

彼がつけてくれたこの名前を大切にしたいなって思った。