これ以上怪しまれないように、私はただの気まぐれ猫なのよーってアピールしたくてイタズラしたんだ。

彼はそんな私に怒るそぶりも苛立つそぶりも見せない。

穏やかに笑ってなだめてきた。

「わかったわかった、おまえ退屈してたんだな。ちゃんと遊んでやるよ。
でも、先にメシ食うか?」

メシ!うんうん、お腹がペコペコだよ。

彼と目が合うとまばたきをした。

彼は私をキッチンに連れていってくれて、冷蔵庫の中のミルクを小さい器に注いでくれた。

「赤ちゃん猫だからこれでいいのかな」

勝手に赤ちゃんだと思っているみたい。まあ、仕方ないかこんなサイズだもんね。

まさか女子中学生だなんて知られたらどうなることか。

差し出された器にとびついて、ミルクを飲んだ。

ふー、甘くて美味しい。

視線を感じて顔を上げると、彼がテーブルに肘をついてこちらを真っ直ぐに見つめている。

瞳を細めて眩しそうに。