彼は片方の眉を上げて首を捻った。

「じいちゃんがよく言ってたんだ。世の中にはいろんな奴がいるって。人間や動物、それ以外にも不思議な奴らがいっぱいいるんだって」

それを聞いて背中に冷や汗が流れたような気がした。

「おまえを見ていたらじいちゃんの言ってた事を思い出したよ」

思わずコクッと息を呑む。

そのおじいさまって、まさかあやかしの存在を知っていたのかな?

獣医さんだって言うし、かなり物知りだったとか。

「そいつらが困っていたら助けてあげないといけないよって。でもその不思議な奴らのことは詳しく教えてくれなかったな」

「ニャァニャァ」

「なんのこと言ってたのかさっぱりわかんねーけどな」

その時、首をブンブン横に振り彼の手を振り払って床に飛び降りた。

「ニャブンッ」

そして、畳の床にバリバリ爪をたてた。

「どうしたんだ?おいおい、やめろって」

困ったように止めようとする彼の手を尻尾で叩く。

「てっ」