「あ」

われにかえったみたいにこちらを見る彼。

「ああ、わるい、ボーッとしてたよ」

「ニャイニャイ」

私が仏壇の方に前足、いや手を指して首を捻ると彼はクスッと笑った。

「俺のじいちゃんなんだ、お前にも会わせたかったな」

「ニャン」

やっぱり思ってた通り写真の人は彼の祖父だったんだ。

「じいちゃんは獣医だったんだ」

そう言った彼の表情は暗くて寂しさを含んでいる。

「半年前に病気で亡くなったんだけどな」

そうだったんだ。

きっと彼にとって大好きなおじいちゃんだったんだろうな。

私がしょんぼりとうなだれたら、彼は私の背中を撫でてから両手で大事そうに自分の顔の前に持ち上げた。

「おまえまで泣きそうな顔すんなよ」

「ニャウン」

「ほんとに言葉がわかるみたいだな」

ギクッ。

まずい、私ったら……。彼の言葉にいちいちリアクションしちゃってた。

「よっぽど賢い猫なのか、じいちゃんが見たらびっくりしただろうな。こんなにちっちゃいし珍しいよな」