苦しくは無かったけど、これからどんな目に遭わされるか怖くてビクビクしていた。

「キャッ、一条くんと喋っちゃった。超クールでカッコいい」

「私なんて手を踏んだのに怒られなかったよ」

「何を庇ってたんだろうね?」

「コンタクトか何かじゃない?あんなに必死だったし」

背後から女子達のコソコソ話が聞こえたけど、だんだん遠さがっていく。

私を手の中に閉じ込めているのは思ったとおり一条くんみたい。

真っ暗でなんにも見えないけど、どこに連れていかれるんだろう。

ドアを開け閉めする音とカーテンを引く音が聞こえた。

「あれ、あいついないのか……」

いまいち感情の見えない独り言。

彼の指と指の隙間から保健室のベッドが見えた。

あらら、また戻ってきちゃったよ。

もしかしてだけど、彼は人間の方の私を心配してわざわざ様子を見にきてくれたのかな?

そう思っていたら、私はベッドの上にそっと降ろされた。