お兄がどんなに私を大切に思ってくれているかほんとは私だってわかってるよ。その気持ちはありがたいと思ってる。

けど、今回は少しでも長くこの町にいたいから、細心の注意をはらわないといけないの。

教室の中をチラッと見ると、花音ちゃんの心配そうな視線とぶつかったから、ニコッと笑って頷いた。

すると彼女も安堵したように微笑んでくれた。

「へえ、あの子か」

兄も私と花音ちゃんの様子を見て嬉しそうにニヤケる。

やっぱり少しでも長くこの町にいたいな。祈るような気持ちでそう願っていた。