女子達は兄を見て淡いため息をつき熱い視線を送る。

兄は転校してまだ日が浅いのにも関わらず、男女問わず大人気。

あんな軽薄男子のどこにモテる理由があるのかさっぱりわからない。

けど、まったく私とは似ていない。

「じゃあね、猫宮さん」

佐伯さんは気まずそうにそそくさと教室へ戻っていった。

私のもとへ来た兄は渋い顔をする。

「大丈夫か?すず、あの女子に謝ってたみたいに見えたけど」

「そんなのお兄に関係ないよ」

「関係あるだろ、兄貴だぞ、俺は」

眉根を寄せてムスッとする兄。

「本当に何か困ったことがあれば俺に言うんだぞ。にいちゃんが守ってやるからな」

「大丈夫だから」

お兄はいつだって、私が孤立していないか、誰かからいじめられたりしていないか心配してくれてるみたいで。