気を紛らわせようとして、窓の外を見るとさっき会った不良の一条くんが正門あたりに見えた。

怪我をしていた方の手をポケットに突っ込んで歩いている。

一条くん、大丈夫かな?

気になってジッと見つめていると、佐伯さんも窓の外を見て突然黄色い声を上げた。

「わぁ、一条くんだ。やっぱりカッコいい!」

他の女子達も窓際に集まってきてちょっとした騒ぎになった。

「今朝も、黒門中学の不良グループに喧嘩を売られたけど返り討ちにしたらしいよ、相手は5人だって。一条くん強すぎー」

「そうそう、この前なんて黒門のトップの番長をやっつけちゃったらしいね」

「番長って苗字なんでしょ?そのまんまじゃん」

みんなが話してるのを聞いて、ちょっと心配になった。

5人を相手にしたって、もはやそれって喧嘩とは言えないのでは。

だって、いくら彼が強くてもそんなの繰り返していたらキリがないよ。

さっきだって、勝ったとはいえ辛そうだったもん。