意地悪な笑みを浮かべられて、タジタジになる。

はあ、いたずらっ子のような顔も好き。私、彼にはとてもかなわないよ。

「そういうことか、じゃあ、どうなるのかじっくりと試させて」

「え、え、でも」

握っていた手を引かれて、彼のたくましい胸に抱きよせられた。

「いっ、一条くんっ」

果たして、私達は無事にファーストキスができるのかな。

胸がドキドキしすぎて、その前に猫に変身してしまいそうな気が……一条くん、たぶんわかってるよね。

オレンジ色の彼は私を見つめると優しくささやいた。

「俺、人でも猫でもどっちの猫宮も大好きだ」

「ありがとう、私も大好きだよ」

泣きたくなるほど幸せなのに、さらに彼は私を愛おしそうに見つめてこう言った。

「ずっと一緒にいよう」

「うん」

目を合わせて笑うと、一生分の幸せを分かちあった。

一条くん、化け猫の私の心はとっくにキミに取り憑かれているみたい。

人とか猫とかもうそんなの関係なくて、私はただキミが好きなだけ。

好きな人のそばにずっといたいって願う。

ただの女の子です。

「ニャンッ」


(おわり)