そして彼は躊躇することなく、手を繋いできたからびっくりした。

「猫宮、行こう」

私なんて全てのことが急展開すぎて胸がドキドキして頭が追いつかないっていうのに。

これって友達の枠を飛び越えてしまってる気がするのは私だけ?

「一条くん、どこへ行くの?」

「まだ内緒」

「どうしてそこに私を連れて行きたいの?」

「俺は今日猫宮の秘密を知っただろ?だから今度は俺のことをもっと猫宮に知ってもらいたいんだ」

「そ、そっか」

道を歩いているだけで、同じ中学の人とすれ違うけどみんな私たちを見て驚いていた。

私の猫耳や尻尾はさっき母に引っ込めてもらったからそのせいじゃない。

あの一条くんが頬を緩めながら、地味めな女子と手を繋いで歩いているからなんだと思う。

でもだからと言って、手を離してとか離れて歩こうなんてとても言えない。

有無を言わせない彼の強引な態度が嬉しいって思っちゃう。

彼の家の前を通り過ぎ100メートルくらい進んだあたりで急に立ち止まった。

「ここ」

「え、ここって」